
登壇した岩松監督
現在ニューヨークのグリニッチ・ヴィレッジで開催中のNYアジアン映画祭にて、岩松了監督の『たみおのしあわせ』(英語タイトル:Then Summer Came)がオープニング作品として世界初披露された。今年で6回目となるこの映画祭は、アジア映画の上映を企画する団体によって運営されており、日本映画に焦点を当てたプログラムJAPAN CUTSとも連動している。
岩松監督にとって初めてのニューヨークながら、わずか3日間という短い滞在。日本では7月に公開になる『たみおのしあわせ』を一足早くニューヨークの観客に披露し、「ニューヨークの方々の反応をおみやげに持って帰ります」と語った。他人にはわからない絶妙な距離感で生きている父(原田芳雄)と息子(オダギリジョー)の物語に真剣に見入っていた観客も、義理の兄役の小林薫がニューヨーク放浪中という設定に反応し、意外なところで笑いが起きていた。
上映後の質疑応答では会場を埋めるアジア映画好き・日本映画好きの観客から「小津映画の影響は? 江戸川乱歩の小説を彷彿とさせるシーンがあった」などの質問が出た。それに対し、「小津監督は大好きで尊敬する存在。特に意識はしていなかったけれど、改めてできあがった映画を見直してみたら、自然とリスペクトがにじみ出てしまったのかも」と岩松監督は答えていた。
この映画祭では、映画祭で上映された作品から、最も支持の多かった作品に観客賞が与えられる。2005年の『茶の味』、2006年の『ALWAYS三丁目の夕日』、2007年の『嫌われ松子の一生』と、3年連続で日本映画が受賞しているため、『たみおのしあわせ』にも期待が寄せられている。
映画祭は7月6日まで行われ、多数の日本映画を含め、43本のアジア映画が上映される。
取材・文:平井伊都子
NYアジアン映画祭
6月20日~7月6日まで開催
『たみおのしあわせ』
2008年7月19日より、シネスイッチ銀座ほか全国にて順次公開
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