
古田新太(左)と北大路欣也(右)が共演した新感線☆RX「五右衛門ロック」
劇団☆新感線の2008夏興行が、約1か月の東京公演を終え、8月8日大阪公演が開幕した。
今回は、生バンドを入れた音楽劇“R”シリーズのデラックス版で“RX”と名付けられた新作、新感線☆RX「五右衛門ロック」。ド派手なチャンバラとロックのリズムが重なり合う、どこまでもおバカなドタバタ劇で、新感線ファン待望の4年ぶりの古田新太主演作だ。
物語は、石川五右衛門(古田新太)が釜茹での刑から生還したところから始まる。役人を出し抜き、生き延びた五右衛門は、真砂のお竜(松雪泰子)や、南蛮の武器商人ペドロ・モッカ(川平慈英)と共に、神秘のお宝“月生石”が眠るタタラ島を目指す。そこで、待ち受けていたのは、五右衛門を追い続ける堅物の役人・岩倉左門字(江口洋介)、タタラ島のクガイ大王(北大路欣也)に復讐を誓うカルマ王子(森山未來)、カルマ王子の復讐を後押しするバラバ国のボノー将軍(橋本じゅん)&ジュザク夫人(濱田マリ)と、何かを企むクセある面々。愛と憎しみ、裏切りと葛藤、そして私利私欲が渦巻く彼らの運命はいかに・・・。
約3時間、とにかくゴージャス、とにかくド派手。キリリッと見得をきる時の唸るほどの格好良さと、濃すぎるキャラを前面に出し、くっだらないギャグを飛ばす時のユルさ加減。その緩急のバランスがお見事。新感線らしさが滲み出た原点回帰ともいえる渾身作だ。
もちろん、五右衛門ヅラに着物姿で、軽快におバカに暴れまわる古田の姿は、「いよっ、待ってました!」的爽快さ。加えて、客演陣も素晴らしい。北大路欣也の圧倒的存在感、江口洋介の爽やかすぎる熱唱、森山未來と川平慈英のタップ、松雪泰子の妖艶なダンス、濱田マリのキュートな歌声などなど、過剰なまでのサービス精神で、最上級のエンタテインメントに仕立てられているのだ。
客席総立ちとなったカーテンコール。最高に盛り上がった客席からは、祭りの匂いがした。五右衛門と愉快な仲間たちが、暑い暑い大阪の夏をさらに熱くするに違いない。
公演は、8月24日(日)まで大阪厚生年金会館 ウェルシティ大阪 大ホールにて上演。
取材・文:杉尾明子
チケットぴあに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。
Copyright c PIA Corporation. All Rights Reserved.