金城武が麻生太郎首相らを前に緊張の面持ち　『レッドクリフ』オープニング上映【東京国際映画祭】 2008/10/20 15:10配信

日本でも人気が高い中国の古典「三国志」。その最大の合戦“赤壁の戦い”を、中国映画史上最大といわれる約100億円の製作費を投じ、2部作で描いた超大作『レッドクリフ Part I』が18日、東京国際映画祭の特別招待作品としてオープニング上映され、主演のトニー・レオン、金城武、そしてジョン・ウー監督ら総勢12人が舞台あいさつに登壇した。

『…Part I』では、天下統一のために動き出した曹操（チャン・フォンイー）の軍に追い詰められた劉備軍が、敵である孫権（チャン・チェン）の軍と結束する“赤壁の戦い”前夜の攻防が描かれる。孔明（金城武）と周瑜（トニー・レオン）が、曹操の騎馬軍に奇策で立ち向かう陸上での戦いが最大の見どころだ。

グリーンカーペットのトリを麻生太郎首相と飾り、大歓声を受けたウー監督は「盛大なオープニングを迎えられて一生忘れられない思い出になりました」と感無量の面持ち。「この映画は誰もが知っている古典が題材ですが、表現形式は新しくなっています。友情、愛、勇気というテーマは今の時代でも必要なもの。また、アジアにも素晴らしい人材があり、ハリウッドと同様のスケールで映画を作れることが証明できたことを大変誇りに思っています」と語った。レオンは「この場に参加できてとてもうれしい。今晩は皆さんにとって美しい夜になりますように」と粋なあいさつ。金城は「諸葛亮孔明を演じた金城武です。オープニング上映に選ばれる大作に出演できて、とても光栄です。存分に楽しんでください」と少し声を震わせながら短くコメントした。金城は東京国際映画祭に初参加。しかも麻生首相をはじめ、日本映画界の豪華スターたちがそろった客席を前にして、かなり緊張していた様子で、汗ばんだ顔がライトに照らされていたのが印象的だった。

舞台あいさつに先駆けて行われたオープニングセレモニーでは、来賓の麻生首相が祝辞を述べた。「漫画オタクの麻生です」と自己紹介するだけあり、本映画祭期間中に開催される「手塚治虫生誕80周年記念特集」にも触れながら、「漫画は暗い話を明るく笑い飛ばして未来への夢や希望を映し出してくれる。こうやって人々に感動を与えるのがアニメーションと映画の共通点」と終始上機嫌だった。審査委員長のジョン・ヴォイトは、自身が14歳の時に黒澤明監督の傑作『羅生門』に出会い、衝撃を受けたエピソードを披露。「現実にここで今、映画の素晴らしさを皆さんと祝うという幸運な立場に立っています。アリガトウ、クロサワサン。ミナサンアリガトウ」と語り、満場の拍手を浴びた。

『レッドクリフ Part I』
11月1日（土）より、日劇1ほか全国ロードショー

取材・文：吹田惠子