
トリノ王立歌劇場記者会見(右:ジャナンドレア・ノセダ、左:バルバラ・フリットリ) (c)青柳聡
1740年に創設され、ミラノ・スカラ座よりも古い歴史をもつイタリアの名門歌劇場「トリノ王立歌劇場」(テアトロ・レッジョ)が2010年に初来日公演を開催することが決定。若き音楽監督ジャナンドレア・ノセダ、来日公演出演予定の人気ソプラノ歌手、バルバラ・フリットリを迎え、先日記者発表が行われた。
創設当初、北イタリア最高の歌劇場と絶賛されたトリノ王立歌劇場は、19世紀末から20世紀初頭に巨匠アルトゥーロ・トスカニーニを音楽監督に迎えて黄金期を築き、同時期にはプッチーニ『マノン・レスコー』(1863年)、『ラ・ボエーム』(1896年)の初演を手がけたことでも有名だ。1936年の火災による焼失、第二次大戦後の混乱を経て、1973年にようやく再スタートを切った後は、往年の名門としての輝きを回復。2007年にメトロポリタン歌劇場で活躍するジャナンドレア・ノセダを音楽監督に迎え、ますますプロダクションの充実化を遂げている。
来日公演は、ヴェルディ『椿姫』、プッチーニ『ラ・ボエーム』とイタリア・オペラの看板2演目。音楽監督ノセダは「やはりお客さんが何を聴きたいかが重要です。日本の皆さんに『あなたの好きなオペラは何ですか?』と質問したら必ず『椿姫』『ラ・ボエーム』の名前は挙がってきますよね」と2作品を選んだ理由を語った。「もちろん名作にも大きなリスクが伴います。有名ゆえに平凡な内容では感動してもらうことは出来ませんからね。でも我々には問題ありません。トリノのオーケストラと合唱団をとても信頼していますから」と自信のほどもチラリ。
ソリスト陣も特筆すべき豪華さ。『椿姫』にナタリー・デセイやマシュー・ポレンザーニ、『ラ・ボエーム』にはバルバラ・フリットリやジュゼッペ・フィリアノーティが登場。ミミ役を歌うフリットリは「プッチーニのオペラの中でも特に『ラ・ボエーム』のミミは、歌手に大きな負担を強いる難易度の高い役です。実は長い間この役は演じていないのですが、今回はマエストロ・ノセダにどうしても!と強く依頼されたのでチャレンジすることにしました」と久々の挑戦への意気込み語った。実はフリットリとノセダの奥さんは学生時代からの無二の親友で、フリットリとノセダも同じく学生時代から無名のプロ時代とずっと互いを支えあう良き友人とのこと。記者発表でも終始、和気あいあいでイタリア人らしいユーモアもたっぷり。ただし音楽の話題になると時折見せる両者の鋭い眼差しからは、ただの友人ではなくアーティストとしても特別な信頼関係が築かれていることが窺えた。ふたりが2010年の初来日公演で、どんな舞台を見せるのか、期待したい。
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