
230年以上の伝統を誇るロシア・バレエ界の殿堂、ロシア国立ボリショイ・バレエの東京公演が、師走の寒さを感じさせぬほどの熱気に満ちた「ドン・キホーテ」にて12月3日に開幕した。躍動感あふれる華麗な舞い、圧倒的なパワーと繊細さが交錯するドラマチックな舞台に初日に訪れた観客も酔いしれた。
「ドン・キホーテ」はスペインの文豪セルバンテスの同名長編小説をもとに、宿屋の娘キトリと床屋の青年バジルのラブ・ロマンスを中心にした物語。主役のキトリを踊ったマリーヤ・アレクサンドロワは、指先から爪先まですべてが完璧なポジションとテクニックで、1幕のヴァリエーションから陽気かつチャーミングなキトリを表現した。ドミートリー・ベロゴロフツェフもバジルの優美さ、大胆さに加えて、2幕のキトリの父親に結婚の許しを願い死んだふりをする場面ではコミカルかつチャーミングさも見せ、会場を沸かせた。クライマックスに近づく3幕のグラン・パ・ド・ドゥではふたりの息はぴたりとあい、互いを尊重しあうアダージョではバレエの甘美なる世界が劇場を包んだ。また本作に欠かせないワイルドでセクシーなエスパーダ(闘牛士)の一糸乱れぬ登場や、可憐なキューピットの踊りはバレエの総合芸術としての醍醐味を感じさせた。
今回の来日公演では「ドン・キホーテ」の他に、古典バレエの神髄であり誰もが知る「白鳥の湖」、日本では初披露となる「明るい小川」が上演される。「明るい小川」は旧ソ連時代のコルホーズ(集団農場)を舞台に農場で暮らす人々と、街からやってきたバレエ団とが出会い織りなす、明るいコメディ。普段ポアントを履かない男性ダンサー達が女性ダンサーに劣らぬ姿で優雅に競演するのも見どころのひとつで、本拠地モスクワやヨーロッパでも大絶賛された楽しい作品だ。また「白鳥の湖」のオデット/オディール役として、CanonのCMでも知られる、世界で活躍するプリマバレリーナのスヴェトラーナ・ザハーロワが一部公演で出演するのも話題となっている。
優雅さと伝統を兼ね備えたロシア・バレエの真骨頂であるロシア国立ボリショイ・バレエの来日公演。日本初上演作品も携え、バレエを見たことがない人からバレエが大好きな人まで誰もが見逃せない熱い舞台になりそうだ。
東京公演は東京文化会館 大ホールにて、12月4日(木)・11日(木)に「ドン・キホーテ」を、5日(金)・6日(土)・7日(日)に「白鳥の湖」を、9日(火)・10日(水)に「明るい小川」を上演。13日(土)・14日(日)には大阪・フェスティバルホールでも「白鳥の湖」と「ドン・キホーテ」が上演される。
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