
音楽劇「箱の中の女」開幕
一青窈が、岩松了と組んだ音楽劇「箱の中の女」が12月10日、東京・シアターコクーンで開幕した。この作品は、アーティスト一青窈が全曲オリジナルで作詞を担当。作曲および音楽監督を小林武史が手がけると言うまさに奇跡のようなコラボレーションが実現した舞台だ。
そんな一青の初舞台に岩松が書き下ろした新作は、男5人と女ひとりが織りなすラブ・サスペンス。男たちがせわしなく働いているとある港。と、突然上から大きな箱が出現し、箱の中からひとりの女が現れた…。
白い服に身を包んだ歌姫・一青が情感たっぷりに歌い始めると、汗臭い波止場の情景から一転、彼女の澄んだ歌声が会場を包み込む。曲が終わると、舞台は再び波止場の世界へ。
港町では、一筋縄ではいきそうもない男たちが怪しげな話をしている。どうやら密輸と関係しているようだ。そんな波止場で働くひとりの男・ロク(柏原収史)は、ある事情から兄貴分のオカダ(杉本哲太)に依頼されて密輸の仕事に加担している。友人のチートイ(山中聡)は何かとロクの面倒を見てやるが、ロクの望みはいつか結婚して夫婦で小さな店を持つ事だった。
ある日、密輸品に紛れて預かっていた箱の中から女(一青窈)が現れ、いつの間にかロクと暮らすようになる。ロクは女に“ハル”と名付け密かに生活を続けていくうち、ロクは彼女との生活が自分が夢見ていた幸せな生活のように感じだし、ひと時の幸福感に包まれていく。
ここで一青の歌う歌は、恋がしたくなるようなポップなリズムとやさしさに溢れ、劇中歌でありながら、ミュージカルのようなセリフを楽曲に乗せるのではない、ひとつの独立した楽曲である事が新鮮で心地よい。
そんな幸せな楽曲で綴られたロクと“ハル”の生活も、やがて彼女の正体が明らかになるにつれ、思わぬ方向に転がり始めるのだった…。
共演は他に、敵対する一家の手先となって働くヤン役に村杉蝉之介、物語の語り部としてブランコ役を演じる水橋研二ら。登場人物すべてが重要な役割を持っているので、何気ない会話の中でフッと語られる言葉が実に面白い。過去のどの音楽劇とも違う、楽曲と芝居の融合で魅せる“音楽劇”は贅沢な遊び心で、聴くもの、観るものの感覚を大いに刺激してくれるだろう。
音楽劇「箱の中の女」は、12月25日(木)まで東京・シアターコクーンにて、12月27日(土)から29日(月)まで、大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティにて上演される。尚、12月24日(水)のクリスマス公演では、スペシャルソング付カーテンコールと来場者全員にクリスマスポストカード(非売品)のプレゼントが行われる。
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