
『Nine The Musical』稽古中
松岡充主演のミュージカル『Nine The Musical』の通し稽古が11月30日、都内で行われた。フェデリコ・フェリーニの映画『8 1/2』を下敷きに、1982年にブロードウェイでミュージカル化。2004・2005年に日本で上演され、来春には映画版も公開となる話題作だ。今回、演出・訳詞・上演台本を手がけるのはG2。9月の製作発表で「日本人にもわかる人間ドラマに仕立てたい。まったく新しい『Nine』に生まれ変わります」と語った彼の言葉通り、ブロードウェイ版とは全く違った作品に仕上がっていた。
世界的な映画監督のグイド(松岡)は、私生活も映画人生も崖っぷちに立たされていた。クランクイン間近で題材すら浮かばず、女優で妻のルイーザ(新妻聖子)には離婚を切り出される始末。夫婦関係修復にとルイーザとヴェニスのスパ・リゾートへ行くが、マスコミの攻撃に合うわ、プロデューサーのリリアン(紫吹淳)からは意に染まぬミュージカルを撮れと言われるわで、踏んだり蹴ったり。やがて内的世界と現実の世界の区別がつかなくなる。彼をとりまく現実と幻想の女が脳内へ話しかけるなか、彼は子供の頃の自分に出会い……。
初日を約10日後に控え、ほぼ完成に近い状態で行われた通し稽古。これまでの『Nine』と決定的に違っていたのは、グイドの描き方だ。イタリア男が女たちとの関わりで煩悶し、憔悴する様を見せたブロードウェイ版と違い、松岡版グイドはあまり苦悩する様子はない。次々に現れる女性たちに、それぞれいい顔をし、優柔不断さがあだとなる。そんな男性として描かれている。また、ひとり平均3、4役を兼ねる女優陣9人の活躍が目覚しい。セクシーな愛人・カルラ役のシルビア・グラブ、春の陽射しのような柔らかな笑みをたたえた女優・クラウディア役の貴城けい、洞察力の鋭い妻役の新妻聖子、明るくサービス精神に長けたリリアン役の紫吹淳など、それぞれ持ち味を発揮している。そのほかの共演者は樹里咲穂、入絵加奈子、浦嶋りんこ、今陽子、寿ひずる。いずれもミュージカルのツワモノ揃いだ。
9名のミュージカル女優をバックに、松岡充がグイド像をどう見せるか。半音の上げ下げ、転調も多い難曲にも格闘しつつ、初日までひと回りもふた回りも厚みを増したグイドの登場に期待したい。公演はル テアトル銀座 by PARCOにて、12月11日(金)から27日(日)まで。チケットは現在発売中。また対象公演日は限定されるが、同料金で食事付きの特別チケットも発売中だ。
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