
最優秀賞を受賞した(左から)余貴美子、渡辺謙、木村大作監督、松たか子、香川照之
第33回日本アカデミー賞授賞式が5日、都内で開催され、木村大作監督の『劔岳 点の記』が監督賞を含む最多の6部門に輝き、作品賞は渡辺謙主演の『沈まぬ太陽』が獲得した。
授賞式は、4度目の最優秀撮影賞を獲得した際、「撮影賞だけじゃ我慢できません。俳優部門と作品賞をこの後とりたい」とのスピーチを皮切りに、日本を代表する名カメラマンの木村監督が歯に衣着せぬコメントを連発。そのマイク・パフォーマンスもあって、いつになく和らいだ雰囲気の中進んだ。
そんなこともあって、木村監督が最優秀監督賞を受賞した際は、会場全体が拍手喝采。この日、最大の拍手を前に木村監督は「ここにおられるほかの(優秀監督賞に輝いた)監督たちが、僕をカメラマンで使ってくれれば、僕はここにいる必要ないんですよ。だから、次は僕をカメラマンで使ってください(笑)。この作品は、映画を愛する人たちにとって最大の映画だと僕は自負している。それを多くの人に認められたのはうれしい」とちゃめっ気たっぷりに喜びを語った。
それを受け、『劔岳 点の記』の浅野忠信を抑えて最優秀主演男優賞に輝いた渡辺謙は開口一番、木村監督の方を向き「ごめんなさい」と笑みを浮かべながら一礼。「この映画には“矜持(きょうじ)”というキーワードがあった。原作者の山崎豊子先生をはじめ、この映画に携わった人すべての矜持が結実して、その成果がこのトロフィーになったんだと思います」と最後は感無量の表情で言葉をかみ締めた。また、昨年『おくりびと』で最優秀助演女優賞に輝き、プレゼンターを務めた余貴美子が2年連続で最優秀助演女優賞を獲得。自分で自分の名前を読み上げるといううれしいハプニングも起こった。
最後にはサプライズで鳩山由紀夫内閣総理大臣が登場。鳩山首相は「映画は素晴らしい芸術。日本映画がさらに発展することを願っている」と会場に集まった映画人にエールを送り、会は幕を下ろした。
【主な最優秀賞受賞者・作品一覧】
最優秀作品賞:『沈まぬ太陽』
最優秀監督賞:木村大作『劔岳 点の記』
最優秀主演男優賞:渡辺謙『沈まぬ太陽』
最優秀主演女優賞:松たか子『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』
最優秀助演男優賞:香川照之『劔岳 点の記』
最優秀助演女優賞:余貴美子『ディア・ドクター』
最優秀脚本賞:西川美和『ディア・ドクター』
最優秀美術賞:種田陽平、矢内京子『ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~』
最優秀撮影賞:木村大作『劔岳 点の記』
最優秀照明賞:川辺隆之『劔岳 点の記』
最優秀録音賞:石寺健一『劔岳 点の記』
最優秀編集賞:新井孝夫『沈まぬ太陽』
最優秀音楽賞:池辺晋一郎『劔岳 点の記』
最優秀アニメーション作品賞:『サマーウォーズ』
最優秀外国作品賞:『グラン・トリノ』
取材・文・撮影:水上賢治
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