
現職医師・大鐘稔彦の同名ベストセラーを映画化した『孤高のメス』の完成披露会見が26日、よみうりホールで行われ、主演の堤真一をはじめ、夏川結衣、吉沢悠、中越典子、平田満、成島出監督が出席した。
この作品で、堤は高度な技術で難しいオペに次々に挑んでいく主人公の外科医・当麻鉄彦に扮したが、司会者から「役柄と似ているところは?」と聞かれて「まっく見当たりません(笑)」ときっぱり否定。「ただ、オペはチームワークで行われているということをすごく感じて、そういう意味では(スタッフと一緒に作品を作っていく)俳優と外科医は似ているのかなと思いましたね」と語った。
劇中ではリアルなオペ・シーンも見どころだが、「どんな練習をしましたか?」と聞かれた堤は「『手術』って言いづらくて、台詞に出てくるたびに悩まされました」と思いがけない苦労を告白。その上で「撮影前、オペにかかわるキャストは実際の生体肝移植や肝臓ガンを摘出する手術を見学しました。それも先生の横から見ることができたので、オペをする雰囲気を感じることができましたね。あと、全員が肝臓を摘出する手順を医療指導の先生から教わって、糸結びで血管を止めて切除する作業などは医大生が練習するキットを借りて練習しました」と振り返った。
そんな堤の完璧なメスさばきを間近で見ていた看護師役の夏川が「堤さんが本当に当麻先生に時折見えて」と絶賛する。すると第一助手の若き医師を演じた吉沢も「手術シーンのときに、堤さんが一瞬2倍ぐらい大きく見えた瞬間があって、緊張しましたね」と貴重な体験を語ってくれた。ところが、それを聞いていた堤は「絶対に本当はそうは思ってないですよ(笑)。2倍に見えたっていうのも、うっとうしくてデカく見えただけだと思うんで」と言って、マスコミ陣を笑わせた。
その後、同じ場所で完成披露試写会の舞台あいさつが行われ、ここで登壇した原作者の大鐘が「膨大な原作を2時間にまとめるのはまず無理だから、最初、私は映画化に乗り気じゃなかったんです。けれど、映画を観てまいりました。不覚にも涙が出ました」と嬉しそうに語った。さらに、イメージソング『待ち合わせ』を歌った馬場俊英が運び込んだ紅白のダルマにヒット祈願のための目入れが行われたが、その際の堤のちゃめっ気ぶりに満員の観客から笑いがこぼれ、場内が和やかな空気に包まれた。
『孤高のメス』
6月5日(土)公開
取材・文・撮影:イソガイマサト
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