怪談マスター・稲川淳二が全米大ヒットホラーの魅力を分析！ 2010/5/11 13:11配信

低予算作品ながら全米で興収1億ドルを突破したホラー映画『パラノーマル・アクティビティ』のブルーレイ＆DVDが6月2日(水)にリリースされるのを記念して、本DVDのオーディオコメンタリーを務めた稲川淳二が本作の魅力を語った。

『パラノーマル・アクティビティ』は、一軒屋に暮らす平凡なカップルが、家の様子がどうもおかしいことから「この家は悪魔にとりつかれているのでは？」との疑いを抱く場面から始まる。彼らは寝ている間の家の様子を記録するべく部屋にビデオカメラを設置。一夜が明け、ビデオに映っていたものとは…という物語。

稲川は本作を「実によく計算して撮られた作品」と述べ「今までのホラーとは逆なんですよね。これまでのホラー映画は“恐さ”を見せようとしてきたから、音がやかましかったり、無理なシチュエーションがあったりするんだけど、この映画にはそれがない。だから、ホラー好きな人は面白いでしょうし、映画を作ってる人が観たらくやしがりますよ。僕も映画を監督する時は毎回「違うなぁ。何か恐さが見えないなぁ」なんて思ってたんだけど、この映画は恐さを“見せない” ことで恐さが増す。そこが偉いんですよ」と分析する。

また、本作の恐さは“日本人の方がわかる恐さ”だという。稲川は「アメリカ人ってビジュアルの世界だから、ホラーでもド派手にやるでしょ？　でも、この監督は日本でいう“気配”のようなものをよく表現したなと。中国では昔から『霊は耳で見る』っていうんですけど、それを“部屋の闇”を使って演出しているところがいいんです」と語り、「この話は怪談話だと成立しないんですよ。闇を見せなきゃいけないから。この恐さを喋りで再現するのは不可能ですね。くやしいなぁ。冗談じゃないですよ」と笑顔を見せる。

ちなみに、本作のような恐ろしい映画を観て、霊が憑いてしまうようなことはないのだろうか？　そう質問すると稲川は「映画観ることで寄ってくることもありますよ」と回答し、「でも、“コワ楽しい”と思えば大丈夫です。霊から逃げようと思っても無駄なんですよね。でも、自分が愛して観たものは大丈夫なんですよ。だから “コワ楽しい”と思って好きになることですよね」とアドバイスした。

『パラノーマル・アクティビティ』
6月2日(水) Blu-ray＆DVD リリース／レンタル、オンデマンド配信同時スタート
発売元・販売元：ワーナー・ホーム・ビデオ
（Blu-ray：税込 4,980円/DVD：税込 3,980円）