
ナオミ・ワッツ(右から2番目)、ウディ・アレン(右から3番目) (c) Jean-Louis TORNATO
ウディ・アレンの新作『ユー・ウィル・ミート・ア・トール・ダーク・ストレンジャー(原題)』(日本公開未定)がカンヌ国際映画祭で世界初上映され、笑いと大拍手をもって受け入れられた。
本作は、突然若作りに目覚めたグレッグ(アンソニー・ホプキンス)が、長年連れ添った妻ヘレナ(ジェマ・ジョーンズ)と離婚し、若くてセクシーな女性と再婚。傷ついたヘレナは占い師に通い詰め、娘サリー(ナオミ・ワッツ)の家にも頻繁に立ち寄るが、サリーの夫(ロイ)に迷惑がられる…。一方ロイは、近所に引っ越してきた美しい女性ディア(フリーダ・ピント)が気になってしかたがない。サリーもまた、職場のボス(アントニオ・バンデラス)に密かに思いを寄せていた…というストーリー。
ウィットの効いた軽快なコメディに、悲劇的な要素も多数散りばめられた本作で、最後にハッピーになるのは、少しおかしな部分がある登場人物たち。それについて、会見でアレンは「それは決して偶然ではない。それが僕の人生観なんだよ。僕は子供の頃から、人生を悲観的に見ていた。フロイドやユージーン・オニールも言っていたことだが、人は幻想を抱きつつ生きなければいけない。正直に生きていたら、辛くて耐えられないよ」とコメントした。
本作の舞台はロンドン。マンハッタンの代名詞的存在だったアレンは、近年、バルセロナやパリなど、ヨーロッパで映画を撮影しており、ロンドンで撮るのはこれが4作目。ロケ場所についてアレンは「ロンドンで撮ることから受けた影響? 別にないね。この映画はニューヨークを舞台で撮ってもストーリー上問題はなかった。ただ、そうするとお金がもっとかかる」と吐露。
アレンはリハーサルを嫌い、現場で俳優に自由をたっぷり与えることでも有名。初めて彼と仕事をする俳優は、彼独自のやり方に、新鮮な驚きを感じるようだ。
「優秀な俳優さえキャストしてしまえば、失敗する心配はない。彼らに自由にやらせ、僕は黙ってギャラを受け取るだけさ」と語った。
カンヌ国際映画祭
5月12日(水)-23日(日)開催
取材・文:猿渡由紀 撮影:若山和子
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