
(左から)桃生亜希子、塚本晋也監督、エリック・ボシック
塚本晋也監督の最新作『鉄男 THE BULLET MAN』が22日(土)から日本公開されるのを前に塚本監督、主演のエリック・ボシック、桃生亜希子がインタビューに応じた。
「フランスで仕事した時に、知り合いに『僕が鉄男だよ』って言っても『まさか!お前が鉄男なわけないだろ!』って全然信じてもらえなかったんです」と笑顔で語るエリックのコメントからわかる通り、“鉄男”は日本だけでなく世界各地に熱狂的なファンを持つ作品だ。塚本監督は「最初はアメリカでやりたいと思って始めたんです」と本作の始まりを振り返る。「何人かのアメリカ人プロデューサーに会いましたし、クエンティン・タランティーノさんとやるという話になったりもしましたけど、“時間をじっくりとかけて、作品に一番合う俳優さんと作品を作り上げていく”という条件が、どうしても合わないので『自分でやるしかないな』と思いました」。
そこで塚本監督は、自身でプロジェクトを推進。全編英語セリフで、最初から世界配給を狙って撮影を開始する。桃生は「撮影現場には若いスタッフたちが世界中から集まって、手作りで泥だらけになりながら“監督が作りたいアート”を作っていくんです。ムダな緊張感がなくて“創造する”ことに集中できる現場で、毎日、撮影に行く前に『幸せだなぁ』と思いました」と述べ、エリックは「この映画は“DIRECTED BY TSUKAMOTO”ではなく、“FILM BY TSUKAMOTO”なんです。彼はマスクの造形もするし、照明も直すし、撮影もするし、編集もする。さらに出演もしている! そこは非常に大事なポイントだと思います」と語る。
塚本監督は「最初の劇場映画だから“原点”とか言われるんですけど、当時はかなり冒険で、実験的なものとして『鉄男』を作ったんです。だから、面白い遊び心を自分にもたらす作品」と語る一方で、「前作から時間が経ったので、『何か強くて新しいものを』と思った時に、“戦争”というキーワードが出てきた。今、戦争や生き死にの荘厳さを語る戦争体験者の方々がどんどんいなくなっている。それと、この映画のそもそものテーマである“夢か現実かわからない都市生活”が組み合わさった」という。
全編が“TSUKAMOTO美学”に満ちた作品でありながら、これまでにない“TETSUO”に仕上がった『鉄男 THE BULLET MAN』。塚本監督は「遊園地でジェットコースターに乗るみたいに、アメイジングな体験をしにいくような感じで楽しんでもらえたらうれしいです。映画館の音も調整して“おいしい状態”にしておきますので」と笑顔で観客にメッセージを送った。
『鉄男 THE BULLET MAN』
5月22日(土) シネマライズほか全国ロードショー
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