女優・水野美紀と脚本家・楠野一郎による演劇ユニット・プロペラ犬の新作は、なんと演劇とロックのコラボレーション。筋肉少女帯=ロックの楽曲に乗せ、プロペラ犬=エンゲキをやってしまおうという、“エンゲキロック”なる試みだ。しかも舞台は、ロックの聖地・赤坂BLITZ。6月4日に開幕したこの『アウェーインザライフ』は、まさにエンゲキロックとしか言いようのない、かつてない新感覚エンタテインメントとなった。
かつて一世を風靡し、伝説となったガールズバンドがある。レナ、アンリ、オユキ、ティアラ、ヤヤの5人から成る、“シスターロメロ”だ。彼女たちは今日、赤坂プロペラロックフェスティバルという晴れの舞台を得て、ついに再結成を果たす。はずだったのだが……。
タイトルにもあるように、作品全体を覆い尽くすのはアウェーな感覚。それはホームの劇場を飛び出したプロペラ犬であり、その生き様がすでにアウェーに満ちた筋肉少女帯であり――。また演劇の観客にとっても、開幕直後に鳴り響くロックの爆音に、アウェーを感じずにはいられないだろう。だからといってそれがマイナスへと傾くことはない。もちろんプロペラ犬であるからには、くだらな過ぎる笑いが満載。そしてその笑いは、筋肉少女帯のロックによって圧倒的なパワーを帯びていく。それらが見事ひとつの作品として成り立っているのは、エンゲキロックを地でいく男、河原雅彦の演出手腕によるものだろう。
過去3度のプロペラ犬公演では、気持ちいいほどの壊れっぷりを披露してきた水野。しかし本作でのそれは、今までの比ではない。力の限り歌い、叫ぶ。得意の殺陣もパワー全開。こんな水野美紀、そうはめったに見られない。だがそれと同じことを、ほかのキャストにも言うことができる。森三中の村上知子は、お笑い以外ではこれが初舞台。しっかり“女優”しているが、やはりここぞというところでは笑いをさらっていく。芝居に歌にと、その実力は折り紙付きのソニンだが、ついにこの舞台では笑いの才能までも開花。その振り切れ具合は、水野に勝るとも劣らない。さらにその周りを小劇場界の巧者たち、小林顕作、市川しんぺー、伊藤明賢が飛び回り、木野花がそれらすべてを凌駕するように存在する。
さらに各公演には、日替わりゲストも登場。中には作品のアウェー度が増すような、意外なゲストも。演劇はこうだとか、ロックはこうだとか、難しい解釈はぜひ抜きにして、ただ単純に、このオモシロ空間に飛び込んでみて欲しい。公演は6月18日(金)まで東京・赤坂BLITZにて。その後、6月23日(水)から25日(金)まで大阪・サンケイホールブリーゼでも上演。チケットはいずれも発売中。
取材・文:野上瑠美子


