
会見より。写真前列左から、山崎銀之丞、大和悠河、謝珠栄、中川晃教、大澄賢也。後列左から、加藤貴彦、小原和彦、菊地美香、藤岡正明、小西遼生、照井裕隆、俵和也 撮影:星野洋介
目まぐるしく変わりゆく時代、武士の魂を持ったまま、新しい“パフォーマンス”に命を賭けようとする若者たちがいた――。演出家で振付家の謝珠栄によるオリジナルミュージカル『風を結んで』は、そんな驚きの設定を深い物語性で疾走感豊かに仕上げた名作。今回はミュージカル出演が4年ぶりとなる中川晃教を主演に据え、大和悠河ら魅力的な顔合わせで贈る。稽古まっただ中の5月14日、東京都内のスタジオで行われた公開稽古を観た。
江戸末期。会津白虎隊は官軍の一斉攻撃に遭い、飯盛山に逃れたのちに自決して最期の時を迎えた。時は流れて、明治9年。廃藩置県や版籍奉還など価値観がめまぐるしく変わる時代に、武士たちは自らの生き方をつかめないでいた。そんなある日、道場一の剣豪・橘右近(大澄賢也)に勝負を挑まれた片山平吾(中川)は、洋行帰りだという由紀子(大和)と捨吉(山崎銀之丞)に助けられる。“パフォーマンス”の一座を作りたいという由紀子に驚きながらも、仲間の田島郡兵衛(藤岡正明)や加納弥助(小西遼生)と共に参加することを決める平吾。一方、右近の妹・静江が家のために身を売ろうとしているのを知った平吾らは、金の工面に奔走するが…。
公開稽古は、武士たちの刀を使ったパフォーマンスのシーンから。平吾と由紀子、そして渋々参加することになった右近役の大澄が中心となって、殺陣を使った鮮やかなダンスを見せてゆく。演出の謝は振付家でもあり、また大澄はもちろん日本きっての名ダンサー。着物と袴でのダンスはかなり大変なはずだが、大澄以下、大和、中川ら全員が役さながらに流れるような動きを見せていたのはさすが。その後は中川ら若い武士と、新しい時代に割り切れない想いを抱えた右近との衝突の場面。さらにはアメリカに5年間留学してきた由紀子と、古き良き日本女性である静江との会話のシーンが続く。時に笑いも交えて展開するそれは、時代劇の味わいを残しつつも、まさに困難な時代を生きる私たちへのメッセージのようでもある。
稽古前に行われた会見では、「いま日本中が変わろうとするときに上演することの意味を感じています」と語った謝。中川が「デビュー10周年に、やりがいのある作品に出られて幸せです。(役を通して)元気いっぱいに生きたい」と語ると、大和も「いつも一生懸命な武士たちの中で、女性の生き方を考えるのは楽しい。とっても面白くて、そして泣ける作品です!」とアピールを。キャストが揃ってのフォトセッションでは、あちこちから冗談がこぼれ和気あいあいとした様子も伝わってきた。抜群のチームワークで贈る日本製ミュージカルの名作を、ぜひその目で確かめてほしい。
公演は、6月4日(土)から19日(日)まで東京・シアタークリエ、26日(日)に愛知・中日劇場、28日(火)から30日(木)までイオン化粧品 シアター BRAVA!にて。チケットはいずれも発売中。
取材・文:佐藤さくら
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