
堂島孝平×フラワーカンパニーズ
かたやポップスの旗手・堂島孝平、かたや骨太なロック・バンド・フラワーカンパニーズ。一見、正反対に見える二組だが、彼らの親交は長く深い。堂島は2011年春から“HARD CORE POP!”というライブ・シリーズを開始。HARD COREの本来の意味である「核心の」から解釈を広げ、「究極の」「本気の」「ど真ん中の」ポップ=「究極のキラメキ」を目指すシリーズである。彼はその初2マンの相手に、リスペクトして止まないフラカンを指名した。
フラカンは堂島の気持ちに見事に応えた。冒頭、キャッチーなロックンロールでガッと引き込み、3曲目「最低気温」から、苦く切ない世界へと導いていく。青春はとっくに終わり、気がつけば年を取った自分がいる。鈴木圭介(vo)のリアルな歌が胸を撃つ。
まさに直球の彼らだが、レゲエ、ラテン、ヒップホップを無理なく消化し、ロック・フェスで鍛えたしたたかさも垣間見せた。ストーリーテラーとしての語り口も絶品。グレートマエカワ(b)、竹安堅一(g)、ミスター小西(ds)は歌の世界観をひたすら守り続ける。非常に知的な彼らが、ステージを縦横無尽に走り、限界まで声を張り上げ、生き続ける少年の心を、醒めない夢を歌うのだ。これに涙しない者がいるだろうか。
堂島はフラカンの脅威を見抜いている。「身が引き締まる思い」という発言は本音だろう。鹿島達也(b)、NONA REEVESの小松シゲル(ds)と奥田健介(g)と組み、ロック・モード全開で挑んできた。洗練された楽曲を、さらに高度に、さらに熱く磨き上げる演奏力。その実力は「堂島君は何でもできる」とフラカンも認めるほど。
そんな彼が「新しい季節にウォーミングアップ」のハープ・ソロで喝采を浴び、メンバーにアオられて燃えた。巻き舌で叫び、ギター・ソロでのけぞり、少しも減速せずに走り抜けた。あくまでもポップに徹しつつ、その歌には人生の悲哀を込め、その奥には燃えるような熱い心を持っているのだ。
聴く人の人生を励まし、心の一番柔らかいところに寄り添う二組。そんな彼らがアンコールで沢田研二の「TOKIO」をセッション。グレートマエカワはにせジュリーを、堂島孝平は鈴木圭介のむちゃブリで近藤真彦のモノマネを、全力で披露し、会場は大爆笑。本気で泣いて、笑って、踊って、燃えて。いつしか心に灯る確かな希望。それこそが堂島が目指す「究極のキラメキ」なのかもしれない。
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