
左からマテ・カマラス、マヤ・ハクフォート (撮影:星野洋介)
1992年のウィーン初演以降、世界各地で上演されているミュージカル『エリザベート』。オーストリア皇后エリザベートの波瀾の生涯を綴った舞台、そのウィーン版キャストがこの10月に日本に集結し、『エリザベート20周年記念コンサート』を開催する。初演から実に1000回以上もエリザベートを演じ続け、出演回数世界一の記録を打ち立てた歌姫マヤ・ハクフォート、黄泉の帝王トート役として絶大なる人気を誇り、今や言語の壁を越えて東宝版『エリザベート』の舞台に躍進したマテ・カマラスのほか、皇太子ルドルフ役には端正な容姿と実力で人気を集め、日本の舞台でも活躍をみせたルカス・ペルマンが登場。本公演さながらの豪華な衣裳やウィッグを身につけた最強の布陣が、特別な演出・振付で新たな感動のドラマを生み出す日本スペシャルヴァージョンだ。この度、マヤが2007年の招聘公演以来5年ぶりに来日。日本で舞台出演中のマテとともに、今回のコンサートへの意気込みを語った。
前回の招聘公演で格別の体験をし、日本再訪を切望していたというマヤは、来日早々にマテが演じる東宝版『エリザベート』を鑑賞。「自らの限界を越えて夢を実現した彼の姿に心から感動し、誇りに思った」と絶賛した。「日本の演出もとてもきめ細かく、丁寧に描かれていたと思います。またどの国の演出にしても本質的な部分が損なわれないところに、『エリザベート』という作品が持つポテンシャルをあらためて感じましたね」。
マヤ自身は、長年演じ続けたエリザベートとの共通項を「つねに自分を律してコントロールできるところ」と言い、「自分を制御して現実の人生に戻ろうとするエリザベートを、引っぱって限界を越えさせようとするのがトート。マテ自身が持っている勇気や行動力が舞台の上に表れるからこそ、私たちが演じるエリザベートとトートの間に緊張感あふれる関係が生まれるのだと思う」とふたりの確かな絆を強調。東宝版の経験によりマテがそのスリリングな関係性をいかに熟成させ、今回のコンサートで魅せてくれるのか期待がかかる。
「日本での体験の蓄積が反映されて新しいトート像につながると思うので、同じドイツ語バージョンでも以前の私とは変わっているはず。マヤさんにとっては最後の『エリザベート』になりますので、日本のお客さんの前で一緒に歌えることを嬉しく感じています」とマテ。その言葉どおり、マヤが演じるエリザベートを観られるのは今回のコンサートが最後だ。最高の持ち役に区切りをつけた理由をマヤはこう語る。「自分を見失わないというエリザベートの主要なテーマを、マヤ・ハクフォートとしてやり遂げ、答えを出したという気持ちがあるから。この最後を日本で迎えられるのは本当に幸せなこと。日本の皆さんと一緒に20周年をお祝いできることを大変光栄に思います」。至高の歌姫の集大成をぜひとも見届けたい。
公演は10月15日(月)から22日(月)まで大阪・梅田芸術劇場にて、10月26日(金)から31日(水)まで東京・東急シアターオーブにて開催される。
取材・文:上野紀子
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