
韓国で“夫にしたい男NO.1”にもなった実力派俳優ユ・ジュンサン
“韓国のゴダール”“エリック・ロメールの弟子”など、ヌーヴェルバーグの巨匠たちを引き合いに出されるほど世界で評価されるホン・サンス監督を特集した『ホン・サンス/恋愛についての4つの考察』が、11月10日(土)より公開される。特集では、日本劇場未公開だった近作4作がうれしいことに一挙上映。今回、そのうち3作に出演した、ホン・サンス作品の常連俳優で、韓国で“夫にしたい男NO.1”にもなったユ・ジュンサンが、監督との映画作りについて語ってくれた。
ホン・サンス作品で一貫して描かれるのは男女の“恋愛”。どこにでもいるような男と女のごくごくありふれた日常の中から生まれる恋愛の機微が、時にリアルすぎるほど生々しく、時に煙に巻いたようにファンタジックに映し出される。今回上映される4本『よく知りもしないくせに』『ハハハ』『教授とわたし、そして映画』『次の朝は他人』も同様。普通の男女が交わすたわいのない会話や、やりとりから、ムクムクと人間の真理や本性が浮かび出てきて、いつしか映画から目が離せなくなる。ところがその映画に「脚本はない」と、ユ・ジュンサンは笑顔で明かす。
「実は1冊という形での台本はないんです。撮影当日の朝、その日やる分の台本が渡される。その連続なんです。一度、監督に尋ねたことがあります。“俳優に渡さないだけで台本は出来上がっているんですよね?”と。すると、監督は“いや、出来ていない。常に、撮影前日の夜から朝にかけて翌日撮る脚本を考えるんだ”と言っていました(苦笑)」
ただ、そういった即興的な手法を用いながら、演出は緻密。アドリブは一切なく、綿密なリハーサル、本番も納得いくまでテイクを重ねるという。
「例えば、『次の朝は他人』のバーで偶然と必然について語り合うシーンは、確か60テイクを重ねました。もう現場から逃げ出しかったですよ(笑)」
ドラマに舞台、アート作品から大作まで、さまざまなジャンルの作品に出演するメジャー人気俳優のユ・ジュンサンだが、その苦労を知ってもなお、今後もホン・サンス作品に出演したいという。
「撮影中はつらい事だらけ。でも、出来上がった作品を観ると、その苦労がいつも吹っ飛びます。類稀な才能を持った監督ですよ」
世界で今最も脚光を浴びる韓国の天才監督が描く世界と、韓国で大活躍の続く実力派俳優ユ・ジュンサンの勇姿をこの機会に触れてほしい。
『ホン・サンス/恋愛についての4つの考察』は11月10日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかにてロードショー。
なお、ホン・サンス監督と俳優の加瀬亮によるトークショーが、11月25日(日)に東京・シネマート新宿で行われる。チケットは11月17日(土)10時より一般発売開始。チケットぴあでは、11月10日(土)11時より先行抽選「プレリザーブ」を受け付ける。
取材・文:水上賢治
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