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下野竜也、読響での6年間の正指揮者時代を振り返る 2013/2/8 17:35配信

下野竜也

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読売日本交響楽団の歴史の中で、初の“正指揮者”に任命され、この3月で約6年間の任期を終える下野竜也。ドヴォルザークの交響曲全曲演奏を実現し、数多くの現代作品の日本初演を成功させるなど、任期中にクラシック音楽界に与えた刺激は限りない。まもなく2月18日(月)と20日(日)に迎える正指揮者として最後の公演では、ブルックナーの交響曲第5番を振る。

「最後の演奏会で何をやろうかと思ったときに、スメタナの『わが祖国』なんかも候補に上がったんですが、僕が読響とまだやったことのない曲で、好きな曲をやりたくて。ブルックナーは“巨匠が振って成果を得られる作品”と見なされることが多く、実際にそうでしょうが、巨匠にしても若いうちから続けた成果が名演につながっているはず。5番は約80分あって、4つの楽章の山が並んで大きな連峰になる曲。つねに自分はどこにいるのか意識しながら指揮をしようと思っています」。

ブルックナーの交響曲第5番は、2006年にも名古屋フィルと共演し、高い評価を得た。「根本的な譜面の見方は、当時とそんなに変わってはいないと思うんです。ただ、見落としている部分はどの曲でもありますね。いつも『あー』と頭を抱えています(笑)。ブルックナーは宗教的なイメージも強い作曲家ですが、実際は、肉料理を食べていた手で人と握手をしようしたエピソードが残っていたり、かなり天然な人だったらしい。音楽には色々な要素が入っていて、大聖堂のコラールみたいなところや、田舎の馬や牛が鳴きながら走ってくるような藁の匂いを感じるところ、また室内楽的で可愛いところもありますし」。

6年間の任期の間、アルブレヒト、スクロヴァチェフスキ、カンブルランの3人の常任指揮者と時代を共にしてきた。「いずれも素晴らしいマエストロですが、カンブルラン先生の代になって『顔の見えるオーケストラ』としての読響が浸透してきた気がします。その一翼を担わせていただいたのは嬉しいことでした。近現代のレパートリー率が高くなって、オーケストラも大変だったはずだけど『もうどんな曲が来ても驚かないよ』みたいな感じになってきていると思うんですよ。僕もコリリアーノやアリベルト・ライマンらの最重量級の現代音楽を振りましたが、現代音楽への姿勢という点で、読響は最先端を走っていると思います」。

4月からは新たに首席客演指揮者として、読響とのパートナーシップを継続させていく。「これまでのような現代作品とはまた違った、クラシックの王道レパートリーもやっていこうと思っています。この6年間で『下野はこういう音楽がやりたいんだね』というのは、楽員さんには分かってもらえたと思うので」。読響と下野竜也の蜜月はまだまだこれからも続きそうだ。

取材・文:小田島久恵

■読売日本交響楽団 正指揮者・下野竜也“卒業”公演
《有終のブルックナー》
2月18日(月) 19時開演 サントリーホール
2月20日(水) 19時開演 東京芸術劇場

  • 下野竜也
  • 下野竜也 (c)読売日本交響楽団
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