
「ROLLY生誕50周年ー前夜祭ー(2013年)」舞台写真より。撮影:土屋茂樹
ROLLYとバイオリニストの中西俊博との出会いをきっかけに、これまで青山円形劇場で8度にわたり行われてきたコンサートが5年ぶりに復活。「横浜フランス月間2018関連プログラム」の一環として、“パリ”をテーマにしたコンサートを開催する。そこでROLLYに現在の心境を訊いた。
中西との出会いは2004年の舞台『ア・ラ・カルト』での共演だが、すでにROLLYは20代の時、あるロックギタリストのソロアルバムで中西の演奏を耳にしていたという。「当時からものすごくアグレッシブなプレイをする人だなと思っていたんです。バイオリンなんですけど、ロックギターの要素もあるというか。中西さんって他の音楽家の方にはない自由な発想がありますし、意外とダークな一面もある。特に僕とやる時は、中西さんの怪奇な部分をやりたい放題に出してもらっているというか(笑)。僕もそういう人とはウマが合いますし、長続きするんですよね」
「怪しくてちょっと笑えるものが好き」と話すROLLYだけあり、パリはパリでもイメージするのは地下墓地のカタコンベ。さらにそれぞれの楽曲でも、一筋縄ではいかないストーリーが語られていく。「例えばハチャトゥリアン作曲の『仮面舞踏会』は、切り裂きジャックの女版の話です。19世紀のパリの街で、夜な夜な顔の皮を剥がれた女の死体が発見されるのですが、その犯人というのがものすごく醜い女。水滴がぴちょんぴちょんと落ちているような地下室で、その剥いできた美しい女の顔の皮を自分の顔につけているという…。あとチャイコフスキー作曲の『花のワルツ』は、カルーセルという男が女装して舞踏会に潜入し、玉の輿に乗ろうと企む話。7分間のすさまじい人間ドラマで、まるで松本清張の『砂の器』みたいな感じです(笑)」
そんな渾身のナンバーの数々を、中西を始めとする4人のバンドメンバーと、アルフォンヌこと羽田謙治のパフォーマンスによって表現するコンサート。ティム・バートン映画のような、気持ち悪くて、かわいくて、ポップな世界が好みの人には、たまらないコンサートになるだろう。ただひとつ気をつけなければいけないのが…。「僕のコンサートを観てしまうと、もう一生後に戻ることは出来ないということです。今後『花のワルツ』を聴く度に、あのストーリーが流れてしまうので(笑)。つまり人生が変わってしまう、それくらいの覚悟をもって来ていただきたいなと。そして会場では心を開いて、大いに笑ってもらいたいと思います」
公演は6月15日(金)から17(日)まで、神奈川・横浜赤レンガ倉庫1号館3Fホールにて。チケットは発売中。
取材・文:野上瑠美子
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