
松居大悟
2018年に結成10周年を迎え、今年11年目に入った劇団ゴジゲン。これまで、北九州や久留米での公演はあったが、ついに福岡市内に初上陸。イムズホール公演を皮切りに、東京、北海道、京都と4都市でツアーを行なう。映画監督・脚本家・俳優としても活躍する福岡出身の主宰・松居大悟に、新作「ポポリンピック」の見どころ、高校時代までを過ごした福岡市での初公演への想いを聴いた。
「オリンピックの「オ」とパラリンピックの「パ」を重ねると、ちょうと「ポ」になる!」と気づき、名付けたというタイトルからも分かるように、モチーフはずばりオリンピック・パラリンピック。しかし、そこはゴジゲン、脚光を浴びる華やかな競技や選手の物語ではなく、東京オリンピックの追加種目にエントリーされながら、最終的に“選ばれなかった”競技の選手とその周囲の人々の物語になると言う。「東京オリンピックの正式種目は33種で、直前で5種目が追加されたのですが、選ばれなかったのがスカッシュ、武術太極拳、ボウリング。その選考基準は“競技が大衆受けするか”とか“絵的に映えるか”という至ってショービジネス的なもの。そんな“大人の事情”でオリンピックに出られない選手たちもいるのだと考えたら切なくなって。“選ぶ”“選ばれない”という行為の残酷さと人間臭さを描きたいと思いました」
オリンピックの正式種目から落選した選手が、周囲の大人たちによって“悪”に仕立て上げられていく様を、キャラクターの魅力で見せていきたいと松居。「ゴジゲンの旗揚げも、選ばれないゆえの選択」だったと語っているように、このテーマは彼自身の想いにもつながっているようだ。「当時は、選ばれないからやりたいことができずに悩んだりしましたね。それで、誰かの基準で選ばれるのを待ち続けるより、自分で劇団を作ればいいと。“選ばれなかった”という経験をすると、人は自己肯定しづらくなったりしますよね。でも、そんなことに傷つく必要ない。どんな状態でもこの世界で生きていていい。観た人が“自分の生き方を自分で選択する”と決意できるような劇にしたいですね。舞台は、回数を重ねほど整えられていくものですが、まずは福岡で、いびつかもしれませんが、1番描きたい純粋な舞台の原型をお見せできれば」
毎回観る者を、嬉しくて、寂しくて、おかしくて、悲しくて、愛しい…といった、いろんな感情がない交ぜになった“言語化できない感情世界”に、猛スピードで誘ってくれるゴジゲン。彼らの目線で描かれるもう1つのオリンピック・パラリンピック物語に、今から期待が高まる。
福岡公演はイムズホールにて、12月21日(土)、22日(日)に上演。チケットは11月9日(土)より発売開始。その他、東京、北海道、京都でも上演。
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