
真夏の川崎に日本のオーケストラが大集合する「フェスタサマーミューザKAWASAKI」。開催概要の記者発表会が開かれた(3月23日・ミューザ川崎シンフォニーホール)。
昨年は緊急事態宣言の解除後、世の中のコンサート活動が再開し始めてまもない時期に、感染対策を確立してほぼ全日程を完走。ライヴ配信を併用する興行形態も注目を集めた。この実績に対して、2020年度ミュージック・ペンクラブ音楽賞功労賞が贈られた。
この日登壇したミューザ川崎シンフォニーホールのチーフアドバイザー秋山和慶は、こんな言葉で昨年を振り返った。
「(長い活動停止のあと)ここでやっと息ができた」
音楽ファンも同じ思いだったはず。その息づかいを、この夏もまた共有できる。
今年のサマーミューザは7月22日(木祝)~8月9日(火祝)の19日間全20公演。現時点では座席を100%使用する予定で、一方、昨年3万回を超える視聴数を記録したライヴ配信も継続。新百合ヶ丘のテアトロ・ジーリオ・ショウワ(昭和音楽大学)を会場とする「出張サマーミューザ@しんゆり」も復活する。
11のプロ・オーケストラが集まるオーケストラの祭典は、ミューザ川崎を本拠とする東響がホスト役としてオープニングとクロージングを飾る。それを含め3公演に登場する東響を指揮するのは、音楽監督J・ノット、桂冠指揮者・秋山和慶、4月から正指揮者に就任する新鋭・原田慶太楼という充実の布陣。詳述する余裕はないが、オケ公演を指揮者との組み合わせで紹介する。
4年ぶり出演のアンサンブル金沢は注目のロベルト・ゴンザレス=モンハスがソリスト・指揮者の二刀流で登場。都響はアジアの新星カーチュン・ウォンと、これが初顔合わせ。読響は首席客演指揮者・山田和樹がサマーミューザ初登場。N響は指揮者なしの室内オケ編成で。シティ・フィルは高関健が常任指揮者就任時に振った《わが祖国》で6年間の成果を問う。神奈川フィルは古楽の匠・鈴木秀美とのロマン派プロ。地元の神奈川フィルはもう1公演、渡邊一正とのバレエ音楽も。初登場の京都市響は今年がラストイヤーの常任指揮者・広上淳一が率いる。ニューシティ管は次期音楽監督・飯森範親の就任披露となる。東フィルは首席指揮者バッティストーニがついにサマーミューザ初登場。日本フィルは下野竜也がアイディア豊かな卓抜プロを聴かせる。
他に、川崎市内にキャンパスを置く洗足学園と昭和音大の各オケも例年どおり登場。また、ピアニスト小川典子が子供向けコンサートとサックスの須川展也との共演の2本立ての一日や、デビュー50周年の渡辺香津美のジャズ・ナイト、オルガン音楽の原点をとことん味わう恒例の「真夏のバッハ」など、どれも聴き逃せない。でも万が一聴き逃しそうになったら、先述のライヴ配信なら日本全国から視聴可能だ。サマーミューザが新しいコンサート体験を提供してくれる。
(宮本明)
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