
撮影:源 賀津己
俳優の大倉孝二と、脚本家で演出家のブルー&スカイによるユニット「ジョンソン&ジャクソン」が、4年ぶり4度目となる新作『どうやらビターソウル』の上演を決定。そこで大倉とブルーに話を訊いた。
実は彼ら、2年前にもイベントを企画。しかしコロナ禍の影響で中止に追い込まれていた。それだけに待望の上演かと思いきや、大倉から発せられたのは「いざやる時になるといつも嫌になっちゃうんです(笑)」という意外なひと言。「苦労を思い出すんだよね」とブルーが返すと、「俺の憂鬱さはあなたが書かないからだからね!」と大倉が反論。「だって共作じゃない?」とブルーが言うや否や、「それ勝手に決めたのあなただから!」と大倉。こんなやり取りが数分続いたが、それもジョンソン&ジャクソンらしさだと思えば微笑ましくもある。
なんだかんだと彼らがユニットを続ける理由は、大倉の「ブルー&スカイという作家の作品に出たい」という願望と、「くだらないことがやりたい」というふたり共通の想いから。大倉は「だから僕ら、やりたいストーリーがあるとか、描きたいものがあるとか、そんなものは皆無なわけです。今回も一本のストーリーものではありますが、くだらないことをやるためにストーリーを考えるという、それこそ意味のないことをやっていて。だから苦しいんですよね」と笑う。
「ただ今までよりちょっと大人っぽくしたいとは思っていて」とブルーが言うように、ゲストには「猫のホテル」の佐藤真弓、「はえぎわ」のノゾエ征爾、渡辺真起子という、40~50代の巧者が名を連ねる。中でも異色なのは、やはり渡辺の起用。「ずっと素敵な俳優さんだなと思っていたんです。でもまさか出てくれるわけがないし、ダメ元で聞いてもらったら、すぐ出てくれると返事をいただいて、逆にどうしようと焦っています」と大倉が苦笑いを浮かべると、ブルーも「プレッシャーが……」と言葉を詰まらせる。だが「でも渡辺さんみたいな方がくだらない芝居をやるからこそ、そのギャップの大きさが、笑いに繋がると思います」と自信も覗かせた。
終始大倉からブルーへのツッコミは続いたが、大倉が誰よりもブルーのファンであることは、彼のこの言葉からも明白。「こんな稀有な作家がいることを、やっぱりもっとみんなに知って欲しいんですよね。それがジョンソン&ジャクソンを続けている、大きな動機のひとつなので。まぁナンセンスしか書けないですけど(笑)」。
取材・文:野上瑠美子
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