
撮影:川野結李歌
11月16日(水)より東京・草月ホールにて舞台『ジパング!』が開幕する。本作の舞台は16の地域からなり、「ジパング」と呼ばれている倭の國。16國のひとつ宮の國では、王・巨埃(きょぼ)の息子、慈陀(じだ)と阿図(あず)が剣と戦鼓――打ち鳴らす音によって戦士たちの能力を高める太鼓の腕を磨き、競い合っていた。ある日、巨埃が暗殺されたことにより、兄弟の運命は激動の渦に飲み込まれていく……。
戦士としての力量に優れ、明るく優しい阿図を演じるのは、佐藤信長。阿図は「強くて、まっすぐで、勇気があって、正しいことは正しいと自分の意志を貫き通す。兄のことも本当に尊敬していて、(物語の中で出会う少年)ククに対してもすごく優しい。本当にいいやつ」だという。
“ザ・主人公”といえそうな阿図だが、佐藤自身とはかけ離れているそう。しかし未熟な部分も描かれ、そこは自分自身と重なっていると感じたのだとか。「それ以外はあまり共通点がないので、今までにない引き出しを開けなくてはいけない」と表情を引き締める。
そんな阿図と深く関わるのが、兄の慈陀と、共に育った摂津。慈陀役の寺西拓人、摂津役の高田彪我をはじめ共演者たちとは、先行して始まった殺陣稽古・太鼓稽古で交流を深めた。「寺西くんは同い年。実力があって殺陣も太鼓もすごく綺麗。見習いたいところがたくさんあります。高田くんはすごくフレンドリー。年下とは思えないぐらいしっかりしていて、一緒にやっていてすごく楽しい」と、劇中同様に厚い信頼が芽生えている様子。彼らの関係性も、注目したいポイントだ。
そして気になるのは、殺陣に加えて和太鼓をフィーチャーし、物語に組み込んでいること。その迫力は、本作の大きな魅力となるはずだ。既に佐藤自身も、和太鼓の虜になっているらしい。稽古1日目で手にマメができたそうだが、「プロの奏者の方と呼吸が合うと、本当に気持ちよくて。すごく良い引き出しが増えたような気がします」と、今後も機会があれば続けたいと語った。
さらに、「ストーリーはわかりやすく、見せるべきところを見せて、キャラクターもキャストの皆さんがすごく濃いものにしている。とても面白い、女性はもちろん男性にも好まれる作品になりそう」という佐藤。「殺陣や太鼓をやってらっしゃる方が観た時に納得してもらえるものに」と、基本はしっかり押さえつつ、舞台としての見せ方との整合性も図って完成度を高めたいと、意欲を見せた。
「皆で志高く進めています。その集大成を本番で見せたい」。和太鼓の響きと共に、彼らの思いが観客を圧倒してくれそうだ。
公演は11月16日(水)から20日(日)まで、東京・草月ホールにて。
※高田彪我の高は、正しくははしごだか
文:金井まゆみ
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