
売れない漫画家・ムラオカの前に、「ゆう」と名乗る女性が現れた。彼の友人や担当編集者、年の離れた妹、人気俳優と、ムラオカの周囲が大きく動き始める。これはゆうと関係があるのか、そしてムラオカはどうなってしまうのか……?
コメディの中にさまざまな要素がぎゅっと詰まった、まさに“全部のせ”SF青春ラブサスペンスミステリーコメディ『きみ、僕の世界のなんなのさ』。作・演出の善雄善雄は「つらい現実だとか、停まらない戦争だとか、嫌なことだけを描いても何も変わらない気がしてきた。世界は変えられる可能性がある、と提示してみたい」。そんな思いで書き上げた脚本は、出演する俳優たちに大きな刺激を与えたらしい。
美ツ海を演じる三津谷亮は、「本当に自由に、僕自身がやりたいことをやったうえで取捨選択をしてくれるので、自分がやっている意味がある。こういう余白のある作品をやりたかった」と、のびのびと稽古に取り組んでいる様子が伝わってきた。
ゆうを演じる多田香織も、「自分が自由に芝居をしている時が楽しいし、作品そのものが自由に創られていく姿を見るのが好き。今回の作品にすごく期待しています」と語る。
そんなふたりの笑顔を見て、善雄は「おふたりに限らず全員感度が高いので、最初に脚本を読んでもらった時に『全部正解』だと思えた」と俳優陣を称える。善雄から見て、三津谷は「『売れている俳優』という役なので、華がある人にやっていただけて嬉しい。俳優にとってはプレッシャーのきつい役を見事にそう見えるように演じていて、すごいことだと思う」、多田は「内に秘めたエネルギーがすごくて、いい意味で『平穏な日常に紛れ込んだ優しい怪物』みたいな、普通の人ではないお芝居もできる」という。
さらに、多田は「今回のキャストは皆さんタイプの違う声で、そういう意味でも稽古が楽しい」と、それぞれに美声な“耳福”キャストだと教えてくれた。
三津谷は、「想像力=思いやりだと僕は思う。想像力が増えることでたくさんの思いやりを持って、人に優しい気持ちで接していける。劇場という場所を通して心の手を繋ぎながら、一緒に歩んでいけたら」、多田も「善雄さんがこの作品で伝えたいことが誰かに届いて、それが少しでも心に残ったら」という。善雄もまた、「コロナ禍で上演できるだけで奇跡みたいになっているなかで、本当に奇跡みたいな瞬間をお届けできるんじゃないかと思います。ぜひ見届けていただきたい」と語る。劇場での小さな奇跡を、ぜひ観客として目撃したい。
公演は11月25日(金)から12月4日(日)まで、東京・シアター711にて。チケット発売中。
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