
シルヴィウ・プルカレーテ演出、佐々木蔵之介主演による『守銭奴 ザ・マネー・クレイジー』が、東京芸術劇場 プレイハウスにて12月11日まで上演されている(地方公演あり)。そこで開幕を直前に控えた、クレアント役の竹内將人に話を訊いた。
これから舞台稽古だと言う竹内のもとを訪ねると、「まだまだわからない部分も多くて」と困ったような、だが嬉しそうな笑顔を覗かせつつ、こう続ける。「この古典喜劇を鬼才・プルカレーテがどう舞台化するのかと思っていましたが、やはりすごいです! 主人公であるアルパゴンの屋敷自体がもう壮大で、ファンタジックで、想像を絶する世界が広がっている。“天才”ではなく“鬼才”と言われる所以はこういうことかと。これまでは稽古場で幹をしっかりと太く作ってきたので、さらにここから舞台上でどんな葉が茂り、花を咲かせていくのか。非常に楽しみであると同時に、少し怖くもありますね」
物語は、佐々木演じるドケチなアルパゴンを中心としたドタバタ喜劇。竹内はアルパゴンの息子・クレアントを演じる。「とにかくアルパゴンっていうのがモンスターなんですよね(笑)。ドケチで、怒りっぽくて、そんな父親の圧政のもと、ただ養われる側として生きてきたのがクレアント。だからどこか人間として成長し切れていないというか、子供っぽいところがあるような気がして。でもマリアーヌと恋をすることによって、彼に新しい風が入りいろいろなことを考えるようになる。つまりクレアントが学び、成長していく物語でもあると思います」
プルカレーテの演出はもちろん、佐々木を始めとする共演者から得る学びや刺激も非常に大きいと言う。「蔵之介さんはとにかくストイックですね。でも優しさもあって、迷っているとすぐに声をかけて助けてくださる。本当に素晴らしい座長さんだと思います。またほかの先輩方もそれぞれ演技論や演劇哲学を持っていらっしゃるので、僕はとにかく聞くようにしています。僕が東京藝術大学、王立音楽院に行ってわかったことは、自分には才能がないということ。だからそんな僕が前に進むためには、努力し、さらに先輩方の言葉をいっぱい受けて、そこから自分の答えを探していくしかなくて。そういった意味で今回はこれだけ素晴らしい先輩方がそろっていらっしゃるので、本当に楽しいです」
さらに「僕はラスト泣けます」という気になるひと言も。プルカレーテの魔法を目撃しに、ぜひ劇場へ!
取材・文:野上瑠美子
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