
舞台やドラマで独特の存在感を放つ女優・うらじぬの。1~3月放映のドラマ『ブラッシュアップライフ』での好演もあって、さらに注目度を増している。そんなうらじが「いつかやってみたい」と以前から思っていた、ひとり芝居を実現。その場となるのは、以前はボウリング場と銭湯が入っていた建物を利用したアートセンター。銭湯部分を活かしたスペースには、既存の劇場とは異なる独特の空気感がある。
そんな空間でのひとり芝居は「なんか良さそう、あそこで何かやってみたい」と思ったからだと、うらじは言う。しかも母親に銭湯の話で芝居をすると伝えたところ、母方の祖父母が昔は銭湯を経営していたことを初めて聞かされたそう。そのうえ大衆演劇との縁も深く、「隣に劇場があって、そこで大衆演劇の公演があると終わった後に皆が銭湯に浸かりに来たりして、すごく親密だったらしいんです。それを聞いて、銭湯っていうものに奇妙なくらいに惹かれるのには理由があったのかもしれないと思った」と、笑みを浮かべる。
意外にもうらじ自身のバックグラウンドとも重なった部分のあるひとり芝居で、作・演出を手がけるのは山西竜矢。うらじが以前在籍した「劇団子供鉅人」で共に活動し、気心の知れた先輩だ。うらじが初めてひとり芝居を上演するにあたって、山西は「大学を卒業して10年以上役者を続けてきたうらじが、今までの自分を振り返る。でもうらじ自身がダイレクトに語るわけではなく、彼女から少しだけ離れた、でも少し重なる部分もある微妙な存在・別人格を創った」。それが本作の主人公・宇野千世子(33歳)。銭湯でバイトをしている千世子のひとり語りで始まる物語は、転職を考える彼女の妄想(かなりぶっ飛んでいる)から始まり、やがて千世子(=うらじぬの)の思いが胸に迫ってくるかのような展開を迎える。
「うらじはすごくサービス精神のある人で、人が楽しむ芝居をすることが上手。その魅力をちゃんと見せられるようにしたい」と語る山西。いつも「うらじ、いいよ」とほめているそうで、その言葉はうらじにとっても「心の支え」なのだとか。一方うらじも、「山西くんは作・演出家としてちゃんと人間観察をしながらその人に合った作品を書く才能にあふれているので、今回ご一緒できて本当に嬉しいし、頼りにしております」と信頼の厚さを伝える。
そんな仲の良い先輩後輩コンビが全力で挑む本公演は、4月13日(木)~16日(日)に北千住BUoYにて。
取材・文:金井まゆみ
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