三谷監督マジックさく裂！　誰も想像しなかった佐藤と妻夫木をお披露目 2008/5/15 11:40配信

オリジナル脚本で勝負を挑み続ける三谷幸喜の監督最新作『ザ・マジックアワー』がついに完成し、14日、披露会見が行われた。三谷監督のほか、主要キャストである佐藤浩市、妻夫木聡、深津絵里、綾瀬はるか、寺島進、小日向文世、戸田恵子、伊吹吾郎が出席し、大盛り上がりの会見となった。三谷監督は「最高の映画ができたと思います。今までの日本映画にない新しいジャンルのコメディーになりました」と自信満々。出演者も今までのイメージとは真逆の意外なキャラクターを演じ、三谷監督の熱い要望に応えた。

本作は、命と引き換えに伝説の殺し屋を連れてくる必要に迫られたクラブの支配人（妻夫木）が、売れない役者（佐藤）をだまして殺し屋に仕立て上げたことによって巻き起こる騒動を描いた物語。これまでに演じた紳士やデキる上司とはまったく異なり、だまされやすい間抜けな俳優を演じる佐藤の姿に、妻夫木は「浩市さんは、想像以上にキュート」と絶賛。三谷も「佐藤さんはお笑いに造詣が深い方なので、絶対に面白くなると確信していた」と太鼓判を押し、佐藤のいち押しの芸人は「ガリガリガリクソン」であることまで聞き出す。

「脚本はみんなのアドリブまで想定して書いています」と三谷が胸を張れば、佐藤が「アドリブを言う必要がないほど完成された、非の打ちどころがない台本ですもんね」と突っ込む。しかし実際には、佐藤は台本の面白さにプレッシャーを感じていたそうで「先日、監督は『脚本は僕から役者へのラブレター』っておっしゃっていたけれど、僕には“役者に対する果たし状”に思えて。それに対して、僕は増幅して答えを出さないといけない」と語った。

三谷監督が「誰が今まで佐藤浩市がトランポリンで上下運動を繰り返すことを想像できたでしょうか？　妻夫木の七三分け、妖艶な深津、まげをしていない伊吹、イギリス人のように歩く寺島を想像できたでしょうか？　小日向さんはいつもの小日向さん」とアピール。「最後は誰も憎めない、何となく許せちゃう不思議な映画です。見た日は一日中機嫌が良い」と佐藤が語るように、ノンストップで笑えて、ハラハラして、ぜいたくな気分に浸ることができる。ちなみに“マジックアワー”とは、手品のマジックのことではなく、映画の専門用語で、太陽が落ちてから光が完全になくなるまでのほんの一瞬のこと。このわずかな時間にカメラを回すと、幻想的な画が撮れるといわれている。

『ザ・マジックアワー』
6月7日（土）より、全国東宝系にてロードショー

取材・文・写真：筧みゆき