
(左から)ジョアン・チェン、ジャ・ジャンクー監督、チャオ・タオ (c) Jean-Louis TORNATO
中国の若き巨匠として、世界中の映画祭で多数の賞を受賞しているジャ・ジャンクー監督の最新作『二十四城記』(原題)がカンヌ映画祭コンペティション部門に登場した。
ジャ監督と言えば、カンヌのライバルであるヴェネチア映画祭の常連で、2006年の『長江哀歌』では金獅子賞を受賞している。カンヌ映画祭へは2002年の『青の稲妻』に続く2作目の出品となり、今年のコンペティション部門では中国語圏から唯一の出品作となる。
『二十四城記』は、巨大工場を閉鎖し高級マンションが建設されることになった四川省の成都に暮らす人々へのインタビューを構成したドキュメンタリーと、3人の女性を描いたフィクションが絡み合う物語。ジャ監督は、100人以上の工場労働者やその家族にインタビューし、高度成長期の中国において経済と歴史が移り変わっていく様子を浮き彫りにしている。「中国の近代史を描くには、ドキュメンタリーとフィクションの融合という方法がふさわしいと思った。なぜなら、歴史は常にそのふたつによって作られているから」(ジャ監督)。
映画の中では、70年代に流行った日本のTVドラマ『赤い疑惑』についても語られ、山口百恵が演じた幸子のヘアスタイルを真似る若者が多かったとか。劇中では主題歌の「ありがとうあなた」も聞くことができる。また、この作品の舞台である四川省で5月12日に起きた四川大地震の被害者に哀悼の意を込めて、1分間の黙祷が捧げられた。
取材・文:平井伊都子
撮影:若山和子/Jean-Louis TORNATO
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