
(左から)サマンサ・モートン、フィリップ・シーモア・ホフマン(c)Kazuko Wakayama
『マルコビッチの穴』『アダプテーション』などを手がけ、アート系映画のファンに根強い人気をもつ脚本家チャーリー・カウフマンが、ついに監督デビューを果たした。
業界内での支持の厚さを反映して、その作品『シネクドキ、ニューヨーク(原題)』にはフィリップ・シーモア・ホフマン、ミッシェル・ウィリアムス、キャサリーン・キーナー、サマンサ・モートンら、オスカー受賞者やノミネート経験のあるアクターたちが勢揃い。記者会見で初めて監督の座についた感想を聞かれ、カウフマンは「恐れ?いや、自分でも驚くことに、感じなかったな。なぜかと聞かれるとわからないけど。監督業は好きだよ。俳優たちと話し合う過程も楽しいし」と答えた。
主演のホフマンも「チャ-リーは第1日目から正しい直感を持っていたね。仕事に対してシリアスだが、ユーモアのセンスもある。それに普通、監督は俳優にとってリーダー的存在でいようとするものだけど、彼は俳優とのコラボに非常にオープン。このキャラクターは僕のものなんだということを、彼は毎回思い出させてくれた」とカウフマンの演出法を絶賛する。
ユニークかつやや複雑な作風で知られるカウフマンだが、今回の作品も例に漏れない。ホフマン演じる舞台演出家が年月をかけて自分の人生を描く劇を作っていくという筋で、劇中劇もあったりするが、大きな柱となるテーマはおそらく「死」。
「僕は、その時僕の頭にあることを書く。この脚本を書いた時は、老いていくことや死について考えていた。最後をあいまいにしたのも意図的。これはメタファーであり、何を意味するかをここで説明することはしたくないな」(カウフマン)
取材・文:猿渡由紀
撮影:若山和子/Jean-Louis TORNATO
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