
今年の講師を務めたクエンティン・タランティーノ監督(c) Jean-Louis TORNATO
監督デビュー作『レザボア・ドッグス』がカンヌ映画祭批評家週間に出品されたのを皮切りに、1994年の第二作目『パルプ・フィクション』がパルムドールを受賞、2004年には審査委員長を務めるまでになった、カンヌとゆかりの深いクエンティン・タランティーノ監督。カンヌ映画祭恒例の“Master Class”には毎年、監督や俳優、音楽家など第一線で活躍する映画界のスターが登場、昨年はマーティン・スコセッシが講師を務めている。
今年の講師はタランティーノとあって、開場時間の数時間前から長蛇の列ができ始めていた。会場につめかけた多くの映画ファンの前に出たタランティーノは、弱冠緊張気味でトークを始めたが、ノリ始めるといつもの早口でまくしたてる。司会者が、タランティーノがかつて演技の勉強をしていたことに触れると「監督や脚本家を目指すなら、とにかく演技のクラスを取ること。役者志望の学生同士が組んで映画を作ることになるから、そこでイニシアチブを取るんだ! 脚本を書いていると登場人物の気持ちを忘れがちになる。役者の勉強をすることによって、違う視点で脚本にふれることができるようになったんだ。それに、俺は演技の勉強を通してカメラの専門用語も覚えたのさ」と、ユニークな持論を次々と披露した。
講義ではタランティーノ監督の過去の作品の映像を観ながら、シーンを解説していく。もう10数年も前の作品についても、事細かく裏話を語るタランティーノの熱弁に、会場を埋めるたくさんの人々も大満足の様子だった。
現在、2010年公開予定の『Inglorious Bastards』(原題)を準備中と言われるタランティーノ監督。2年後には新作を手にカンヌに舞い戻ってくることだろう。
取材・文:平井伊都子
撮影:若山和子/Jean-Louis TORNATO
【第61回カンヌ国際映画祭特集】
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