
オペラ「エフゲニー・オネーギン」まもなく開幕
現在世界で最も注目を集めるオペラ演出家ペーター・コンヴィチュニーが手がけるオペラ、チャイコフスキー作曲「エフゲニー・オネーギン」がいよいよ明日9月12日(金)に上野・東京文化会館で開幕する。
2006年のシュツットガルト歌劇場来日公演の「魔笛」、二期会オペラ「皇帝ティトの慈悲」や今春上演の「アイーダ」など、日本で上演されたコンヴィチュニーのオペラ作品は、いずれも鋭い内面描写で大きなセンセーショナルを巻き起こしており、今回の「エフゲニー・オネーギン」に対するオペラファンの期待値はかなり高い。
今回の上演作品、チャイコフスキー作曲の「エフゲニー・オネーギン」は、文豪プーシキンによる同名の小説が原作。19世紀初頭のロシアを舞台に、純朴な田舎地主の娘タチアーナが、妹オリガの婚約者レンスキーが連れてきた都会人オネーギンに恋をするところからストーリーが展開する。作曲家チャイコフスキー自身が、当時隆盛を極めていたグランド・オペラと区別して、本作品を「リリック・シーン(抒情的場面)」と名付けており、登場人物の心理や感情が細やかに描かれている点が大きな特徴だ。
9月10日に行われたゲネプロは開幕直前というだけあって、圧倒的な完成度でコンヴィチュニー演出の本領が如実に窺えた。特にヒロインのタチアーナがオネーギンへの恋心を語るシーンなどでは、緞帳やオーケストラピットの周りに設けられた回廊を用い、舞台装置や背景との関係を遮断して心象告白であることを強調する手法は巧みのひと言。観客のタチアーナへの感情移入を促進させる効果は極めて高いことだろう。また第3幕最初のポロネーズの場面では通常のバレエをカットし、オネーギンが友人レンスキーの死体を抱いて軽快なポロネーズにあわせて踊るシーンは狂気そのもの。些細な諍いから友人レンスキーを決闘で殺めてしまったオネーギンの崩壊していく心が強烈なインパクトをもって表現されている。
「くるみ割り人形」「白鳥の湖」で知られるチャイコフスキーのロマンチックな旋律と、登場人物の内面を深く掘り下げるコンヴィチュニーの演出は、鮮やかなコントラストとなって観る者の心に大きく訴えかけるはず。濃密な人間ドラマ「エフゲニー・オネーギン」は大きな衝撃となるに違いない。
ペーター・コンヴィチュニー演出
「エフゲニー・オネーギン」
9月12日(金) 18時30分開演
9月13日(土) 14時開演
9月14日(日) 14時開演
9月15日(月・祝) 14時開演
会場:東京文化会館 大ホール
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