
ミュージカル「タイタニック」稽古場会見
2007年にスマッシュヒットを記録したブロードウェイ・ミュージカル「タイタニック」の再演が、1月24日(土)にスタートする。1月7日、公演開幕を目前に控えた稽古場で、出演者を囲む稽古場会見と、ハイライトシーンの公開稽古が行われた。
大ヒットした映画版『タイタニック』とは違い、ミュージカル版では、全世界を震撼させたタイタニック号沈没の悲劇を、史実にきちんと基づいて舞台化している。再演版だけに、前回から参加した主演俳優たちを中心にまとまりがよく、稽古場会見は終始和やかな雰囲気。と同時に、全員が作品を真剣に考える熱心さもあって、意識の高いコメントが頻出する会見となった。まず、主演の松岡充が「100年に一度の大不況と言われている今、人間が油断し、驕り高ぶったときにこそ天災や人災は起きる、ということを謳ったミュージカルを上演する意義を感じる。人間の愛がどれだけ力を発揮するかを伝えたい」と口火を切ると、大澄賢也は「激しいダンスシーンがあるわけでもないのに、初演は1回1回の舞台で疲労感があった。それだけの重さと責任がある作品。タイタニック号が、人々の夢と希望を乗せてアメリカを目指した、そのエネルギーを大切にしたい」と続けた。トリは船長役の大ベテラン・宝田明。「終戦後、満州からの引き揚げ船で、日本の旧海軍の人たちが、見事に輸送の業務に当たっているのを見て感銘を受けた。その姿が、船長役の大きな参考書になっている気がする。映画と違い、舞台は想像力を働かせる場所。映画の『タイタニック』より断然面白いですぞ、と言いたい」と締めくくった。
続いて、舞台のハイライトシーン4場面をダイジェストした公開稽古に突入。意表をついて、生者と死者が肩を並べて希望を歌い上げるラストシーンが第1ハイライトだ。この作品の特長であるコーラスワークの熱さと強さがダイレクトに迫ってくる。続く第2ハイライトは、舞台冒頭の乗船シーン。巨大客船の処女航海に全員が胸を躍らせる場面。演技が活き活きと弾む。第3ハイライトは、氷山に衝突したタイタニック号の通信室で、船の首脳陣たちが激しく責任追及をし合うシリアスな場面。松岡充、宝田明、大澄賢也の3人の「歌による喧嘩」に火花が散り、どうしようもない絶望が舞台に漂う。3等船客たちがアメリカ生活を夢見て歌う最後の第4ハイライトには、人間の希望と夢がさわやかに歌われていた。
公開稽古といいながら、本番そのままの気合。人生を、夢を、愛を、希望を、そこにいる全員で真剣に考え、表現するカンパニーの姿勢に打たれた。この船に乗ってみたい。結末は悲劇と知っているにもかかわらず、そんな不思議な気持ちがこみ上げてきた、充実の公開稽古だった。
公演は、1月24日(土)から2月8日(日)まで、東京国際フォーラム ホールCにて上演される。電子チケットぴあでは、通常の指定券の他に、当日引換券も発売中。
チケットぴあに掲載されているすべてのコンテンツ(記事、画像、音声データ等)はぴあ株式会社の承諾なしに無断転載することはできません。
Copyright c PIA Corporation. All Rights Reserved.