
新国立劇場オペラ「修禅寺物語」出演者初顔合わせ
歌舞伎界の大御所で人間国宝の坂田藤十郎によるオペラ初演出が話題を呼んでいる、新国立劇場2008/2009シーズンのオペラ最終演目「修禅寺物語」の初日舞台稽古が5月28日に行われた。
戦後日本を代表する作曲家・清水脩の代表作品であるオペラ「修禅寺物語」は、劇作家・岡本綺堂の書き下ろし新歌舞伎が原作。1911年(明治44年)に名俳優・二代目市川左団次の主役で初演されて以降、歌舞伎の人気演目としておなじみの作品だ。またオペラ「修禅寺物語」の初演は1954年、前衛的な演劇を推進した武智歌舞伎の主宰・武智鉄二の演出で行われている。
今回、新国立劇場オペラ芸術監督・若杉弘たっての希望で、オペラ演出に初挑戦することとなった坂田藤十郎だが、実はその武智鉄二演出による歌舞伎「修禅寺物語」においてヒロインのかつら役を演じており、本作との縁も深い。「私が『武智歌舞伎』でヒロインのかつら役を演じたのは1950年。その時、初演のかつら役・市川壽海さんが稽古指導に来て下さり、武智鉄二先生と共に初演時の模様や原作・岡本綺堂先生のことをたくさん教えて下さいました。市川壽海さん、武智先生、遡って岡本先生の原作にまで通じる精神を皆さんと共有しながら、素晴らしい舞台が出来るよう頑張ります」と、今回の初日舞台稽古の場で意気込みを述べた坂田藤十郎。
また演出プランの説明では「若杉さんの意向でもありますが、メイクアップは歌舞伎風、衣装も初演の時と同じようなものを用います。また私が主宰する近松座の中村鴈乃助、中村鴈成が演出助手として演技指導もします」と、歌舞伎色を存分に取り入れた舞台作りとなることを語った。
健康上の理由により療養中の芸術監督・若杉弘に代わって本公演を指揮するのは、こちらも日本音楽界の重鎮・外山雄三。「清水脩さんは当時の日本の音楽家としては珍しくフランス音楽に傾倒していたので、イタリア・オペラのように華やかに歌い上げる場面はありませんが、フランス語独特のデクラメーション(朗唱)を日本語オペラに生かそうとチャレンジしています。その意図を大事にした舞台作りを目指したいですね」と語った。
人間国宝・坂田藤十郎のオペラ初挑戦、新国立劇場オペラ「修禅寺物語」は6月25日(木)から28日(日)まで、新国立劇場オペラパレス(東京・初台)にて開催。チケットは好評発売中。
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