
指揮:サカリ・オラモ(左)、ピアノ:アリス=紗良・オット(右) (c)三好英輔
スウェーデンの名門オーケストラ、ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団と首席指揮者のサカリ・オラモを招いて開催される『東芝グランドコンサート2010』。2月23日(火)からの全国8都市ツアーに先駆け、22日にサントリーホール(東京・赤坂)で特別プレ公演が行われた。
北欧最強コンビとの呼び声高いサカリ・オラモ&ロイヤル・ストックホルム・フィルがまず1曲目に披露したのは、北欧の大作曲家シベリウスの『エン・サガ』。“ある伝説”と名付けられ、北欧神話の世界を想像させる長大な交響詩は、ストックホルム・フィル自慢のシルクのような弦楽器と抜群の相性。加えてオラモの確かな構築力で徐々に厚みを増していくサウンドが、作品のもつ神々しい世界を描いてみせた。
続いては、彼女がお目当てのファンも多かったはず。アリス=紗良・オットが登場。ドイツと日本のハーフの21歳で、今や世界中からオファーが絶えない人気ピアニストだ。曲目はチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番。彼女にとっては今まで何度も取り組んできた得意のレパートリーであり、今年1月には地元の名門ミュンヘン・フィルとの共演で待望の録音もリリースしたばかり。今回も持ち前の思い切りのいい打鍵、華麗なテクニックはもちろん、表現者としての強靭な意志を感じさせる演奏で、オーケストラをグイグイとリード。か細い身体のどこに巨大なエネルギーが詰まっているのか―圧巻の熱演で会場のボルテージを早くも最高潮に。盛大な拍手に応え、アンコールにショパンのワルツ。一転して一服の清涼剤のような清々しい響きが会場を包み込み、世界が認める若き才能にあちこちから感嘆の溜息が漏れた。
アリスの熱演の余韻を挟んで、この日のメインはドヴォルザークの『新世界』。奇をてらわない正統派の演奏だが、一糸乱れぬアンサンブルが作品の本質を鋭く突いた純度の高い名演は、北欧の名門の面目躍如だ。元々定評ある弦に加え、さらに驚異だったのが金管セクション。圧巻のパワーを放ちながらもムラが無く、公演を通してノーミスの演奏は、世界を見渡してもそうそう聴けるものではない。そして最後には贅沢にアンコールを2曲。ドヴォルザークのスラブ舞曲第8番、滝廉太郎作曲の『花』のオーケストラ版で華麗に締め括った。
サカリ・オラモ指揮ロイヤル・ストックホルム・フィルハーモニー管弦楽団による「東芝グランドコンサート2010」。日本ツアーは2月23日(火)の広島公演を皮切りに全8公演を開催する。
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