
新国立劇場オペラ「愛の妙薬」4月13日・舞台稽古より(撮影:三枝近志/提供:新国立劇場)
4月15日(木)に公演初日を迎える新国立劇場オペラ『愛の妙薬』の舞台稽古が4月13日に行われた。
ドニゼッティ作曲のオペラ『愛の妙薬』は、純朴な農夫ネモリーノが農場主の美しい娘アディーナへの恋を成就させるため、インチキ薬売りドゥルカマーラから惚れ薬(実はただのワイン)を手に入れ、彼女にアタックしていくという喜劇。アリア「人知れぬ涙」をはじめ、美しいメロディの歌や合唱があふれる、人気のオペラだ。
今回の舞台は、イタリア演劇界で活躍するチェーザレ・リエヴィの演出。スペインの田舎の農村という原作の舞台には敢えて縛られず、カラフルでポップな舞台美術と衣装を使用。登場人物のユーモラスなキャラクターの表現を歌手陣の動きに求めることで、物語の喜劇性を巧みに引き出した。
そして舞台稽古でまず素晴らしかったのが、ネモリーノ役のジョセフ・カレヤの歌唱。2009年12月のメトロポリタン・オペラ『ホフマン物語』でも大成功を収め、いま世界中のオペラハウスから引っ張りだこのテノールは、1幕冒頭のアリア「なんと彼女は美しい」から舞台稽古に集った観客の心を一気に釘付けに。恰幅の良い体躯から放たれる声量豊かな美声、おそらくカレヤ自身がもつ愛嬌たっぷりのキャラクターがネモリーノの純朴さとぴったりはまり、劇場内は一気に幸福感で満たされる。伸びやかな高音はもちろん、低音にもしっかりとした安定感をみせ、まさに隙なしの歌唱を披露した。
またネモリーノの恋の相手アディーナ役のタチアナ・リスニックも好演。美人で知性あふれ、自分が魅力的であることを心得ているが、最後にはネモリーノの純心のなかに真の愛を見出していくアディーナの心の変遷を、巧みなテクニックを駆使して表現してみせた。リスニックはネモリーノ役のカレヤとはプライベートでもパートナーということもあり、両者によるネモリーノとアディーナの恋の駆け引きも絶妙だった。
ドゥルカマーラ役(インチキ薬売り)のブルーノ・デ・シモーネはベテランらしい堅実な歌唱、ベルコーレ役(アディーナを誘惑するネモリーノの恋敵)の与那城敬のセクシーな美声など、他のソリストたちも優れたパフォーマンスを披露。またイタリア・オペラを知り尽くしたパオロ・オルミの指揮のもとで軽快かつ明朗な美しいサウンドを紡ぎ出した東京フィルハーモニー交響楽団、聴かせどころの多い合唱シーンも新国立劇場合唱団がしっかり整ったアンサンブルで魅了。美しい歌の饗宴が聴きどころの『愛の妙薬』に相応しいプロダクションで、本公演の成功へ期待が高まる。
新国立劇場オペラ『愛の妙薬』は、4月15日(木)より全5公演を開催。チケットは発売中。
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