
が~まるちょば
サイレントコメディー・デュオ“が~まるちょば”が、9月9日(金)、KAAT神奈川芸術劇場を皮切りに、毎年恒例の『JAPAN TOUR』をスタートさせた。赤いモヒカンのケッチ!と、黄色いモヒカンのHIRO-PONによる2人組・が~まるちょば。パントマイムの世界に新しい風を呼び込み、いまや世界中から注目されている大人気デュオで、今年のツアーでは2か月以上をかけ、全国31会場を巡る。
舞台は3部構成。冒頭の「が~まるSHOW」では、おなじみのトランクを使ったパントマイムのほか、が~まるちょば流のネタが次から次へと繰り出されていく。抜群のコンビネーションと上質のパントマイム。そしてその場の空気を瞬時に読み、アドリブを連発、笑いに転化していくそのセンス。幕開け数分にして観客は、一気にが~まるちょばの世界へと引き込まれてしまうのである。そして観客参加型とも言えるが~まるちょばライブだけに、時に観客が、出演者のごとく舞台へと引き込まれてしまうことも…。そこはぜひ気後れせず、グッと前のめりになって楽しんでしまうのがベスト! ともあれ、2人のかっこうの餌食となってしまうので、くれぐれも遅刻はしないようご用心を。
続いては、ショートスケッチ(=短編作品)の「マジシャン」。これぞ"サイレントコメディー・デュオ"という彼らの肩書きを象徴する作品。パントマイムとはまた違う、サイレントならではの笑いの面白さを存分に堪能することが出来る。
そしてラストを飾るのが、今回のツアーの目玉とも言える新作長編「Hello Goodbye」。長編としては実に5年ぶりの新作であり、2人が大好きだと言う"サイエンス・フィクション(SF)"がテーマとなっている。爆弾犯(ケッチ!)と、それを追う刑事(HIRO-PON)との攻防を物語の軸に、恋愛、ヒーロー、SFなどさまざまなテイストが織り込まれ、非常にドラマ性の高い仕上がり。しかしそもそも演じ手は2人のみ、しかもパントマイムによるサイレント芝居である。だがそれがマイナスではなく大きなプラスへと働くのは、彼らの高い表現力に加え、音楽や照明の絶妙な効果ゆえ。何よりサイレントであることが観客の想像力を大いに駆り立て、至極の劇空間を生み出しているのである。
短編から長編まで、が~まるちょばだけが生み出せる多層的なサイレントコメディー。世界が認める才能を、このツアーを機に、ぜひ生で体感してみて欲しい。
現在、チケットは発売中。
取材・文:野上瑠美子
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