
メトロポリタン・オペラ「ランメルモールのルチア」
“世界最高峰のオペラハウス”メトロポリタン・オペラ東京公演の演目のひとつ「ランメルモールのルチア」の公開ゲネプロが、6月6日に東京文化会館で行われた。
ドニゼッティ作曲「ランメルモールのルチア」は、イタリア・オペラを代表する人気作。政略によって引き裂かれた恋人たちの悲劇を描く。特に第3幕の「狂乱の場」は有名で、兄によって政略結婚させられたヒロインが、絶望により正気を失い、結婚相手を殺害。血だらけの花嫁姿のまま、狂いながら歌って息絶えるという壮絶なシーンは、これまで多くの名歌手たちに歌い綴られてきた。
今回注目なのは、何といってもヒロインのルチアを演じる、ディアナ・ダムラウだろう。“銀色の美声”と絶賛されるダムラウは、高音とコロラトゥーラ(技巧的で華やかに装飾された旋律)が秀逸なのはもちろん、中音域の美しさ、豊かな表現力も突出しており、今のオペラ界で最も人気のソプラノのひとり。今回の来日の際には、日本の原発事故について母国ドイツで専門家から独自に情報収集し、安全性を確信したという彼女。出産したばかりの赤ちゃんと母親を伴っての来日には、並々ならぬ意気込みがうかがえる。
「ランメルモールのルチア」公開ゲネプロでも、新時代の“コロラトゥーラの女王”の呼び名に相応しい歌唱を披露。本作最大の見せ場で、イタリア・オペラの中でも屈指のテクニックを要する第3幕「狂乱の場」では、音程を自在に使い分けながら、連続して続く超高音域を見事に歌い上げた。加えて、錯乱していくルチアがまるで乗り移ったかのような演技力も、観るものを物語に一気に引き込む。歌唱力だけでなく、ルックス、演技力も問われる現代のオペラ界で屈指の人気を誇る所以を見せつけた。
またダムラウの脇を固める歌手陣も世界トップクラスばかり。トリプルキャストとなるルチアの恋人エドガルド役のロランド・ヴィラゾン、アレクセイ・ドルコフ、ピョートル・ベチャワ、ルチアの兄エンリーコ役のジェリコ・ルチッチという豪華な顔ぶれが集結。贅を尽くした美麗な舞台装置とともに、世界最高峰のオペラハウスの名に相応しい、絢爛豪華なステージが実現した。
メトロポリタン・オペラの東京公演は、ディアナ・ダムラウ出演「ランメルモールのルチア」のほか、「ラ・ボエーム」「ドン・カルロ」「特別コンサート」を6月8日(水)から19日(日)まで開催。チケットは発売中。
■メトロポリタン・オペラ 東京公演
『ラ・ボエーム』
6月8日(水)・11日(土)・17日(金)・19日(日) NHKホール
『ドン・カルロ』
6月10日(金)・15日(水)・18日(土) NHKホール
『ランメルモールのルチア』
6月9日(木)・12日(日)・16日(木)・19日(日) 東京文化会館
『特別コンサート』
6月14日(火) サントリーホール
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