
『アメリカン・バレエ・シアター』会見より
3年ぶりの『アメリカン・バレエ・シアター』来日公演が、7月21日に開幕した。前日の20日に、都内にて芸術監督のケヴィン・マッケンジーを始め、ダンサーたちが会見を行った。今回の公演で、カンパニーとしては最後の来日となるホセ・カレーニョのほか、ジュリー・ケント、パロマ・ヘレーラ、ジリアン・マーフィー、アンヘル・コレーラ、マルセロ・ゴメス、デイヴィッド・ホールバーグ、シオマラ・レイエス、コリー・スターンズ、ヴェロニカ・パールトに加え、アメリカン・バレエ・シアターのメンバーとして初来日するダニール・シムキン、唯一の日本人メンバーとして主役を踊る、加治屋百合子の総勢12名が登壇し、来日公演への思いを語った。
ケヴィン・マッケンジーは「日本は大変な時期ですが、現実の辛さから離れて幸せな時間を感じて欲しい。アメリカン・バレエ・シアターは、世界中から最高のダンサーたちが集結したカンパニーで、共通言語がバレエです。お互いの持つスタイルをリスペクトしあった彼らの力がぶつかると、とても良い影響を与え合うのです。今回はアメリカンパワーに満ち溢れた『ドン・キホーテ』と、演劇性が悲劇を盛り上げていくマクミラン版の『ロミオとジュリエット』を上演します。また、ガラ公演ではアレクセイ・ラトマンスキーの『くるみ割り人形』や、ベンジャミン・ミルピエの『トロイカ』など新しい作品もあり、ダンサー個々の素晴らしさを楽しんで下さい」と語った。
ホセ・カレーニョは「悲しむ皆さんには申し訳ないのですが、今ものすごく気分がいいです。アメリカン・バレエ・シアターとは、あらゆる演目をエキサイティングに踊ってきました。一歩先に進んで、外の世界をいろいろ経験しようと思っています。」と前向きな気持ちを話した。加治屋百合子は「カンパニーのダンサーたちは、とても日本に来ることを楽しみにしていました。私は日本をとても愛しているので、今回の公演で主役を踊れることを誇りに思います。カンパニーの看板演目である『ドン・キホーテ』で、私のキトリをお見せしたいと思います」と意気込みを語った。
見渡す限り豪華なスターダンサーの集団だが、誰もが口々に「悲しさを忘れて、数時間でも楽しんで欲しい」と、当たり前のようにこぼれ出る思いやりの言葉が会見場を優しく包む。震災直後の福島原発事故の影響で来日を諦めるアーティストが多い中、正式な来日宣言を行い、芸術の力で私たちに喜びを贈ろうというダンサーたちの愛と勇気に、たくさんの拍手を返したい。
取材・文:舞踊ジャーナリスト 高橋恭子
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